厚木の行政書士 安齋です。
GW明け、近畿地方の企業様から運送業許可についてご相談がありました。
その企業様は食品を取り扱っており、今回のコロナによる減収を
「自社便のみで使用していたトラックを有償にして減収を補えないか」と考え、
運送業の許可取得を検討しはじめたというお話でした。
運送業許可にもさまざまな種類がありますが、その企業様はどの許可を取得するのかの前に一番の問題は『営業所』の場所でした。なぜなら、候補地はなんと『市街化調整区域』!だったからです。
その企業様は他の方から「調整区域でも営業所にできるよ」と聞いたようで「本当?」と言われました。
私は「調整区域、厳しいなぁ…」と思いながら、調整区域で許可を取得した事例がないか、そして自治体による調整区域での建築の特例がないかを自治体HP⇔自治体☎⇔運輸局HP⇔運輸局☎⇔手引き⇔・・・と調べ尽くしました。
なぜこんなに営業所について必死に調べるのかというと運送業許可の物的要件の中で営業所の設置場所の調査はとても慎重にならなければならず、許可取得のための要のようなものだからです。
※営業所以外にも要の要件はもっとたくさんあります。
営業所予定地の調整区域は自治体の特例でも建築可の地域からは外れており「やはり調整区域には無理か…」と思っていたところ、過去の許可取得実績として「トレーラーハウス」の営業所というのが出てきたのです!
しかし、運輸局も自治体もこれについてははっきりしたことは教えてくれず(法の抜け道のようなものだから?)運送業許可について書かれた本にもプレハブについての記載はあってものトレーラーハウスについては全く触れられていませんでした。
過去にトレーラーハウスで取得できた実績があるということは申請が通るのか、運送業許可は昨年11月から資金要件も厳しくなり申請者の負担も大きいため「とりあえず申請してみましょう」などという軽い気持ちではできないのです。取得できる可能性がどれほどあるのか、ないのかが大切です。
困り果てた私は、最終手段として運送業に精通した大先輩に質問し「トレーラーハウス協会というのがあり、手数料を支払えばそちらで調査をしてもらえる」と教えていただきました。
そんな協会があるのですね~。初めて知りました!
※しかし、調査の結果トレーラーハウスで許可が出そうとなりトレーラーハウスを購入する場合は協会を経由しなければならないとは思います。。。
その他、いくつか疑問点も含め解決すべき点を全て調べた結果、企業様へは
~今回の回答~
①候補地の調整区域は自治体の特例でも建物を建築できる地域ではない
②しかし、トレーラーハウスの実績がある。そしてその対処先について
③許可取得後の事務処理(1.決算後の事業報告 2.年度ごとの事業実績報告 3.日々の記録業務…)
の煩雑さ
④緑ナンバー(事業用)の維持は白ナンバー(自家用)よりも点検回数も多く費用がかさむため維持
費が今までよりもかかる
⑤許可申請は審査に4ヶ月ほどかかり、かつ、別途事前準備に2ヶ月ほどかかることを踏まえると半年
がかりの大仕事であるため、コロナの減収の穴埋めとなるのには時間がかかる、今すぐの対処法と
はならないのではないか
上記5点でした。
企業様も再度検討された結果「ハードルが高いので、もう一度冷静に考えます」との回答でした。
私は資金に余裕があり、今すぐの収益とならなくても構わない、というのであれば申請にチャレンジするのはいいと思うのですが、今回のコロナでの減収分をカバーしたい、というのであれば今は適切なタイミングではないと思っていました。